山下俊英教授

大阪大学大学院医学系研究科 分子神経科学 教授
大阪大学大学院生命機能研究科 教授 (兼任)
専門:神経科学(特に神経回路の修復機構)

私が医学部を卒業して研修医として働き始めた年に、母が交通事故に遭い、頭部に外傷を負いました。短歌を詠むのが趣味だった母が、地域の新聞社から賞をいただいて、バイクで帰ってくる途中の事故でした。

脳に深い挫傷を受けて、約1ヶ月の間、昏睡状態となり、その後徐々に意識が回復しました。劇的な回復に、家族はとても喜びましたが、両側の前頭葉の脳挫傷のため、高次脳機能障害の状態となりました。この高次脳機能障害は、これまで約20年にわたって続いています。生活全般にわたって介護を必要とする状態であるにもかかわらず、当時は制度的な支援もなく、父がいつもそばにいて、介護を続けました。今は、父自身も介護を必要とする状態となり、二人とも介護施設に入所し、職員の方々にお世話になっています。

家族にとっては困難な日々でしたが、そのような中でも、母の脳の機能が保たれている部分を、
時に垣間みて、嬉しく感じることもありました。病院に入院していた時、トイレの場所がわからず廊下を歩き回っていると、「徘徊」と呼ばれたという趣旨で、短歌を詠んだことがありました。
ベッドの脇に置かれたその短歌を、看護士さんたちが読んで、
それから徘徊という医学用語を使わなくなりました。

理由もなく歩き回る人はいないのです。私自身が、母から学んだことのひとつでした。
また、かねてから得意だった暗算の能力は今でも保たれています。これまでとは違うけれど、
たしかに母のしっかりとした人格があると感じるようになりました。

私は当初、脳神経外科の医師として働いていましたが、その後、研究者に転身しました。
この10年あまり、脳の損傷によって破壊された神経回路が、なぜ修復されにくいのかという課題に取り組んでいます。このような基礎研究が、脳の障害による後遺症を改善させる治療法の開発へと結実することを願っています。

将来の医療の革新を支える研究を成し遂げていきたいという思いで、教室員とともに努力しています。
かけがえのない家族が高次脳機能障害となった時の、悲しみやご苦労ははかりしれないものであると思います。公的な支援を積極的に受けていただくことで、本人とご家族様のご負担が少しでも和らぎ、前向きに歩んでいくための助けとなることを、心よりお祈りしております。

●略歴
平成2年3月: 大阪大学医学部医学科卒業
平成2年5月〜6年3月:大阪大学医学部脳神経外科に所属し、医師として臨床に従事
平成6年4月〜8年5月:大阪大学大学院医学系研究科 博士課程 大学院生(中退)
平成8年6月〜平成13年1月:大阪大学大学院医学系研究科 機能形態学講座 助手
平成10年7月〜平成12年8月:ドイツマックスプランク研究所 研究員
平成13年2月〜平成15年10月:大阪大学大学院医学系研究科 ポストゲノム疾患解析学講座 助教授
平成15年11月〜平成19年11月:千葉大学大学院医学研究院 神経生物学 教授
平成19年12月〜現在:大阪大学大学院医学系研究科 分子神経科学 教授

●受賞
2005 Ameritec Prize (米国) 詳細はこちら>>
2006 千葉銀ひまわり賞
2006 第6回バイオビジネスコンペJAPAN優秀賞
2010 日本学術振興会賞 詳細はこちら>>
2011 大阪科学賞


平成22年3月1日 山下俊英教授
が日本学術振興会賞を受賞


山下俊英教授とハーバード大学の
Zhigang He教授が2005年の
アメリテック賞(米国)を受賞

●研究室ホームページ
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molneu/index.html


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