高次脳機能障害の種類

高次脳機能障害の種類分けはいくつかありますが、脳の損傷状況に応じて大きく2種類に分けられます。

一つは、局在性脳損傷といって、脳の一部が直接損傷を負ってしまった場合です。通常は脳挫傷などの診断名がつくものです。

この場合は、画像上も明らかに脳の損傷が確認されるため、交通事故の賠償においてもそれほど問題になることはありません。

 

もう一つの損傷は、びまん性の損傷であり、脳が強い衝撃により揺れたりねじれたりすることにより、その全体あるいは一部の脳神経が損傷を受けた場合で、びまん性軸索損傷などと言われています。

このびまん性軸索損傷は神経の損傷であり、現在のCTやMRIではその損傷を直接確認することが困難であると言われています。

そのため、従来は、事故後性格が変わるなどの変化があっても、障害が生じていることを見逃されやすく、大きな問題となりました。

現在では、MRAやPET、拡散テンソルMRIなど新しい技術によってびまん性軸索損傷においても画像所見を確認しようとする試みがなされていますが、いまだ技術的に確立されるまでには至っていません。

そのため、びまん性軸索損傷の場合には、他の画像所見(出血痕や脳の委縮の程度)や、意識障害の期間や程度など、いくつかの判断要素を組み合わせて判断する必要があります。